佐藤さんのお話

佐藤さんのお話



奥さんの事を最愛の人と呼び、尊敬し、彼女がいないと俺は生きていけない。と佐藤さんは言う。
奥さんも「この人は本当私がいないとダメなのよ。」と言い切る。
その一方で佐藤さんは切ない恋物語をこの50年間何度もしているらしい。笑
本人の予感だと80歳頃に恋心の大爆発が来るらしい。 


お昼休憩には佐藤さんの昔話をよく聞きます。


――――


18歳の頃に電車の中で一目ぼれをして婚約までした女性がいたそう。
結局ガーナの大学に4年間留学する事が決まって、その彼女とは婚約解消になってしまい、彼女は別の人と婚約をし、3人の子供産んだ。



そっから50年以上たった今でも二人はたまに連絡を取り合うらしい。
そして会った時には一緒にお酒を飲んで、佐藤さんがコースターに
「心の妻は君だけだ。」とか書くと「心が羨ましい 心だけはいつもあなたのそばに。」とか返してきて「私18歳に婚約した日からずっと心はあなたの妻だったのよ。」



他にも「火だけつけて、振り返らぬ勝手な男」と書いたり、「何でそんな綺麗なんだ?」と聞けば「会った時に、はっと言わせる為に何歳になっても綺麗でい続けるわ。」とかそんな会話をしているらしい。



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お互い一番大切な妻も旦那もいるからこそ成り立つ恋心で、これ以上になると趣も切なさも無くなるからダメなんだと。


「な?いいだろ?切ないだろ?」と笑う佐藤氏。笑


「それでも奥さんは知ったら嫌なんじゃないですか?」と聞くと



「かつて大事だった人を思い出して切なくならないほうが可笑しい。たいして大事じゃなかった人は思い出しても何とも思わない、関心すら持てない。けど本当に昔愛した人は違う。切ない思い出がない人生なんてよっぽどつまらないじゃないか。」だそう。



まあ、たしかに。私も思い返せば切ない思い出は沢山あって、その思い出がない中学、高校、大学時代はさぞかしつまらなかっただろうと思う。


私は彼の前の恋人に関してあーだーこーだと騒いでいたけど
別にたまに昔の恋人を思い出して懐かしい気持ちになって、昔はこうだったなあなんて切なくなってぼけーっとすのも一日ぐらい過ごすのもいいじゃないか



心ががんじがらめになるほどつまらなくなるのはその通り。
私に秘めた心を持つのもいいでしょう。笑 自由な心で。



「彼女(妻)の持つお椀に何十年と愛を僕は注いできた。彼女のお椀はもうたっぷんたっぷんどころか溢れてしまっていて、下にこぼれてしまっている。そのこぼれた愛を受け止める器の女があったっていいじゃないかと。」


うーーーん笑。


「素敵な人に素敵だなあと言わない方が失礼なんだから。
それ以上はだめだから、そこで止めておくんだ。誰かを傷つけることはしないんだ。で、楽しかったねと言ってさっぱりと別れるんだ。僕は奥さん以外と手繋いだ事もないんだから。大事なのはモラルにがんじがらめにならず、自由な心で。」


「ま!22歳の君にはまだ早いな!!50年後出直してこい!!」


だそうです。

以上、昼の20分 72歳恋愛論でした。